第2回ヒカクテキ読書会「トロッコ」報告

6月10日夜7時半より。

第2回ヒカクテキ読書会、盛り上がって終了。

今回の作品は「トロッコ」芥川龍之介。

この最後の4行が最初の問題点。

良く教科書にも取り上げられるこの作品は、果たして子供向けに書かれたものなのか。だったらこの4行は蛇足なのでは?

校正の仕事って、やりがいあるの?世間的にどうなの?

正宗白鳥の「塵埃」には「男が生涯をささげるに足る仕事ではない」みたいな登場人物の言葉があるよ。

だいたい、芥川はなぜこんな暗い話を?

いや、むしろこの4行は芥川の優しさ、そこはかとない希望の示唆では?

この話は良平の恐怖の体験で、大人に騙される怖い話。

はじめてのお使い的な冒険の話で、最初は楽しくて、次に不安になって、最後は家族に暖かく抱きしめてもらえるある意味幸せな話では?

大人になった良平は、ノスタルジックな思い出としてこの体験を思い出しているのでは?

読んだ感想は人それぞれ。

ただ、ひとつだけみんなが大きく頷いたのは、「この良平の体験を読み手にリアルな体感として読ませる芥川のうまさ」

他には

「文中に―(縦線)多くない?………も気になる。晩年の作品(ある阿呆の一生)には20以上あるらしいし。句読点も多めで、芥川って体力ない感じする」

という感想にはすかさず参考文献が示された。

「芥川の―の表現方法 ダッシュの使用とその効果」

                 (笹谷あゆ美)

また、句読点の少ない例として、吉田健一の文章を読み上げてくれる人もあり。

芥川は東大出身のエリートで、すっきりしたスタイリッシュを気取ってる。反対に泉鏡花はルビがいっぱいで紙面がぎっちり!というご意見も。

いやあ、皆さん素敵すぎる。

そして1人の方が、子供が主人公の作品で、子供への大人の態度がトロッコと違ってシビアだとあげたのが「友だちのうちはどこ?(映画)」(アッバス・キアロスタミ監督)

トロッコみたいな小品でも、2時間わいわいと盛り上がって終了となりました。

みんな笑顔でバイバイ手をふって来月の再会を約束。

誰か新しく参加してくれないかなあ~?

だってこんなに楽しいからさ!と口々につぶやいて。

※予告

第3回ヒカクテキ読書会

7月15日夜7時半より

宮沢賢治「銀河鉄道の夜」「やまなし」

読んでても読んでなくても、黙っていても、参加大歓迎!

グラスやカップ片手にお茶会気分でどうぞ!

※最後に、みんなの読んだ本とかのご紹介。

〇「由煕 ナビ・タリョン」李良枝(イ・ヤンジ)

  面白かった

〇「バルバラ異界(漫画)」萩尾望都

  萩尾望都は好きだが、SFは読んでなかったので

〇「かわいそ笑」梨

  ホラー、この人のは面白い。想像が実体化する恐怖。

  題名の意味は、読めばわかる。

〇「グレートウォール(映画)」チャン・イーモウ監督

  こねこねこねこねする。

  こねこねこねこねしたら、黒色火薬ができた。

  火薬はヨーロッパじゃなくて中国がこねこねこねこねして発明した。

〇「希望名人ゲーテと絶望名人カフカの対話」頭木弘樹

  絶望するふり幅の大きすぎるカフカに爆笑し、例えようもなく優しいカフカに恋してしまいそうになる。

〇「口訳 古事記」町田康

  関西弁の神様達に「ほんまもうエライこっちゃ」

〇「ローズロージィローズフルバッド(漫画)」いくえみ綾

  いくえみ綾の描く男に恋しない女がいようか。

〇「きのう何食べた?21(漫画)」よしながふみ

  BL界の神が始めた「一般人の男性購買雑誌モーニング」連載。

  しかもゲイカップルの話でクッキングパパ的料理マンガ。

  ???と首を捻ってからもう幾年月。

〇「幻覚の脳科学 見てしまう人々」オリヴァー・サックス


  脳科学者オリバー先生の医学エッセイ本はみんなおすすめ。




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