『世界文学重層』

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西成彦先生の著書『世界文学重層』をご紹介します。書評を西槇偉先生がお書きになりました。

世界文学重層

表紙背表紙裏表紙著者西成彦

判型四六判
頁数288頁
定価5,720円 (本体:5,200円)
ISBN978-4-622-09846-1
CコードC0098
発行日2026年4月16日

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世界文学重層

膨張主義のもと列強が争った帝国主義戦争は、国境、そして言語圏をまたいだ大規模な人的移動を引き起こした。世界各地の地域語の話者とともに、大小さまざまの〈語圏〉もまた、網目をなすように地球を覆い、重なり合ってゆく。
租界時代の上海――上海語、北京語、広東語などの中国語に、英語、フランス語、日本語、ドイツ語、ロシア語、ポーランド語、韓国語にイディッシュ語までが入り混じっていた上海で、非日本語との不断の接触・隣接関係の中から生まれた「外地の日本語文学」には、その多言語的状況が否応なく映し出されている。
朝鮮半島に出処を持つ作家たちが日本語で書く作品がそうであるように、南北アメリカのコリアン作家の作品は、英語やポルトガル語で書かれていたとしても「韓国=朝鮮=高麗語圏文学」の名に値するばかりか、ときに「他者の言語」でありながら一種の「母語(的なもの)」であった「日本語圏」の層を抱えこむ。
言語の数だけ存在し、それでいて単なる言語割・国民文学割の各国文学の総和を意味しない文学、複数の〈語圏〉の重層性に支えられた、〈世界文学〉としか名づけようのない文学の豊かさがここにある。

目次

世界文学と日本語──まえがきに代えて

多言語都市・上海(2018年夏の「日録」より)

帝国日本のバイリンガルたち(2017年春の「日録」より)

戦後日本でだれが〈異邦人〉だったのか?
日本の・カミュ・たち
日本語文学のなかの異邦人たち
植民地の異邦人
「エトランジェの文学」の時代
マイノリティのあいだの分断
だれが「ムルソー」か?

イーハトヴの多言語性に関する覚書
賢治の日本語と異言語
日本語文学と方言、あるいは「るび/ルビ」の効用
賢治童話のなかの東北方言
人間語(国語)をあやつる二級国民たち
労使間の言語使用と種族間の言語使用

日本文学はシベリア出兵をどう受け止めたか
堀田善衞と「シベリア出兵」
宮澤賢治と「シベリア出兵」
黒島傳治と「シベリア出兵」
おわりに

世界文学と日本語の居場所
サンパウロの韓国人
「セニョール・カイーシャ」こと李箱
南米のジャパニーズとコリアン
コリアン・アメリカン文学の勢い
植民地主義と養子縁組
トラウマと物神
日本語という伏流水
棄郷者たち
語圏と文学
おわりに

あとがき

著訳者略歴

*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

西成彦

にし・まさひこ

1955年岡山県生れ。兵庫県出身。東京大学大学院人文科学研究科比較文学比較文化博士課程中退。1984年より、熊本大学文学部講師から助教授、1997年より、立命館大学文学部教授を経て2003年より同大学院先端総合学術研究科教授を歴任。立命館大学名誉教授。専攻はポーランド文学、比較文学。著書『マゾヒズムと警察』(筑摩書房 1988)『ラフカディオ・ハーンの耳』(岩波書店 1993/岩波同時代ライブラリー 1998/熊日文学賞)『イディッシュ――移動文学論 I』(作品社 1995)『森のゲリラ 宮沢賢治』(岩波書店 1997/平凡社ライブラリー 2004/日本比較文学会賞)『クレオール事始』(紀伊國屋書店 1999)『耳の悦楽――ラフカディオ・ハーンと女たち』(紀伊國屋書店 2004/芸術選奨文部科学大臣新人賞)『エクストラテリトリアル――移動文学論 II』(作品社 2008)『世界文学のなかの『舞姫』』(みすず書房 2009)『ターミナルライフ 終末期の風景』(作品社 2011)『胸さわぎの鷗外』(人文書院 2013)『バイリンガルな夢と憂鬱』(人文書院 2014)『外地巡礼――「越境的」日本語文学論』(みすず書房 2018/読売文学賞)『死者は生者のなかに――ホロコーストの考古学』(みすず書房 2022)『多言語的なアメリカ――移動文学論 III』(作品社 2024)『カフカ、なまもの』(松籟社 2024)、訳書 ゴンブローヴィッチ『トランス=アトランティック』(国書刊行会 2004)コシンスキ『ペインティッド・バード』(松籟社 2011)ショレム・アレイヘム『牛乳屋テヴィエ』(岩波文庫 2012)シンガー『不浄の血』(共訳、河出書房新社 2013)『世界イディッシュ短篇選』(編訳、岩波文庫 2018)ほか。

世界文学は何語で書かれるか

編集者からひとこと(WEBみすずサイト「新刊紹介」)

書評情報

西槇偉(比較文学、熊本大学文学部教授)「狭間の文学」から浮かぶ傷痕熊本日日新聞 2026年5月17日中村和恵(明治大学教授)「何重もの言語領域渡り歩く」日本経済新聞  2026年6月6日

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